IFRSのキャッシュフロー計算書は税引き後当期純利益からスタートする

損益計算書P/L、貸借対照表B/S、キャッシュフロー計算書C/Fの財務三表の関係性を学んでいると、以下のような問題にぶち当たる人がいると思う。

 

IFRSと日本会計基準でどうちがうんだ?」

 

利息や配当の記載箇所の違いは他のコラムで散見するので、ここではさらに重箱の隅を突く疑問を記載する。それは以下のようなものだ。

 

「日本の会計基準だと営業キャッシュフローのスタートは税引き前当期純利益なのに、IFRSだと、税引き後当期純利益なの?」

 

答えは、「Yes」である。

 

もちろん、全ての企業を網羅したわけではないが、IFRS導入企業の財務3表を見ると、営業キャッシュフローのスタート地点にあたる当期純利益の箇所に、連結損益計算書(P/L)に記載の税引き後当期純利益を記載している企業はある。

 

最先端のグローバル企業である大手商社など見てみてほしい。そのようになっている記号があるはずだ。

 

そうすると次に下記の疑問が浮かぶ。

 

「税引き後当期純利益から営業キャッシュフローの計算を始めると、法人税は2重に引かれるの?それとも引かないの?」

 

これは、日本の会計基準キャッシュフロー計算書(C/F)を見慣れた人ほど浮かんでしまう疑問だ。

答えは、

 

法人税は足し戻す」だ。

 

実際にIFRS企業のキャッシュフロー計算書をみてみよう。日本の会計基準なら、当たり前のように引いていた法人税の数字の上に「△」印がない。つまり、法人税を足し戻しているのだ。(ここでは法人税=法人所得税として解説している)

しかも足し戻している法人税は、損益計算書(P/L)で引かれたそれと一致しているはず。確かめてみてほしい。

 

これで、「IFRSキャッシュフロー計算書、どうなってんだ?」と思っていた人の混乱が解けたのではないだろうか。

 

ちなみに、キャッシュフロー計算書の「現金及び現金同等物」の数値が、貸借対照表(B/S)のそれと一致しないことで混乱している人もいると思うが、それは、「有価証券報告書」でそれぞれの「現金及び現金同等物」の注釈箇所を見れば、内訳が記載されているので、数字が異なっている理由がクリアになるはずだ。

有価証券報告書をネットで出して「現金及び現金同等物」で検索をかけて、記載箇所をハイライトすれば、注釈箇所も見つけやすくなる。

もっとも、この「現金及び現金同等物が、C/FとB/Sで一致しない現象」はIFRSより、日本の会計基準の企業で見られる傾向がある。

 

(注)本記事は、筆者が財務学習で学んだこと経験を基に解説しているため、法令や事実と異なる内容が含まれている可能性がある。事実確認は自身で行っていただきたい。事実確認を自身で行えるように書いているつもりである。